作品コメント
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- 川瀬リノ
欺くも愛は、美しく消える
――雪の上に、舞い落ちる鮮血の赤を見た。
「人は悲しい生き物だ……」
“低い──けれども、風に消えることなく優しく響く声音。それに返す声があった。”
「あなたの言うとおりだわ」
“そこにいたのは、黒く艶やかな髪に意志の強そうな瞳。白い上衣に赤い袴の巫女装束に身を包んだ少女。”
優しくも悲しい鬼:紅漣と、里を守る美しい巫女:千砂が出会ったとき、物語の歯車が廻りだす――。
***
鬼と巫女、まったく違う境遇だというのにも関わらず、至純の愛を繰り広げる二人に、読んでいてなんだか温かい気持ちになれました。
人は悲しい生き物……。この言葉に、なぜだかわからないけれど、訴えかける強い思いを感じました。
いえ、それは一つ一つの言葉に留まらず、紅蓮桜花という小説すべてをひっくるめていえる言葉だと思います。
ファンタジーなどが好きな方には是非おすすめです。 - 神水紋奈
涙は心の証
人を食べる鬼と、里で崇められている巫
女。
反する立場にあるはずの二人が、同じも
のに惹かれて、通い合う。
丁寧な文章で書き綴られた、美しい絆の
物語です。
儚く散っていく命、その鼓動と息吹を間
近に感じられるような、幻想世界に迷い
込んだかのようなお話でした。
14pという短い中に、起承転結うまく
まとめられているのも素晴らしいです。
鬼の流す涙、孤独という二人を結びつけ
る感情。
誰も一人では生きていけない、そんな思
いになりました。
素晴らしい物語です。皆さんもぜひご覧
ください。 - れいあ
美しい
とても綺麗で、丁寧な文体。
情景の描写もとても美しく、圧巻でした。
あまりファンタジーや歴史ものは読まないのですが、一目見ただけで、ぐいぐいと物語に引き込まれ、あっという間に読めてしまいました。
鬼と巫女という、禁断の愛。
しかし二人の抱えている孤独が、読んでいるこちらにも伝わってきます。
「私はあなたの魂の欠片になる。血となり、肉となり、私はあなたの中で生き続けるわ」
千砂がそう言ったとき、泣きそうになりました。
短編でこれほど素晴らしい作品に出会ったのは初めてです。
これからの著者様のご活躍、期待しています。 - 栗栖ひよ子
神々しい、究極の愛
鬼と、巫女。
それは本来ならば、決して相容れない、対極の存在。
しかし、紅漣と千砂は、お互いに、孤独・哀しみを抱える存在として、とても近いものだった。
神々しさと厳粛さに包まれた、哀しい恋物語。
胸が痛いほど切なく苦しいのに、それ以上に、涙が零れるほど儚く美しい。
「私は何故、泣くのだ?」
忌み嫌われている鬼の涙は美しく、その魂は高尚で。
鬼を討とうとする人間の心は、とても濁り、穢れに満たされている。
「人間は、愚かだ」
そう、本当に恐ろしいのは、負の感情に支配された人間なのだ。
二人の契り。
千年の誓い。
この物語のラストシーンは、究極の愛の姿だ。
孤高の鬼は、最も神聖な存在なのかもしれない。 - 悠裏
やさしい物語
まずは文章自体が、とても洗練されていてやさしい印象を受けます。
次に、主要人物たち。
恐ろしい対象にもなる鬼を、とてもやさしく書かれています。
それに共感する少女もまた。
短くて読みやすいですし、是非、せつなくなるほどのやさしさを感じてみて下さい。