優しい雪が、心に積もる
愛花さんの文章は、お人柄が出ているのか、丁寧で嫌味がありません。

ファンタジックな美しい物語でも、現実感のない物語ではなく、身近に降り積もる優しい物語へと、私たちに語りかけてくれるのです。

一人の女性の結婚前日を舞台に、雪降る街で起こる、あたたかく優しい出来事。

しんしんと降り積もる雪は、なぜか柔らかく、寒いはずの公園は、なぜかあたたかい。

公園の男の子に関しての予想は、見事に外れてしまいました。

真人が美里に言った、自身の成長についての台詞は、優しくて、切なくて、深くて。

胸がズキンとなりながらも、心に深く沁みわたり、
私の中にいる大切なあの人を、思い浮かべてしまいました。

「結婚」

それは、相手と自分の二人だけの出来事ではない。

家族、友人、自分たちの周りにいる人たち全てにとって大切な、尊いものだということ。

結婚式前に、そんな大切なことを思い出させてくれました。

結婚を考えている人、結婚前の人、そして、結婚を経験した全ての人に読んで欲しい、優しい愛の物語です。