大きな山の南にある街で、平凡な毎日を送る青年、俊裕。

多感で、寂しがりやで、憂鬱な性質の彼は、日々の生活の中で、孤独を感じるときに浮かぶ、どうすることも出来ないような疑問に苦悩する。

その苦悩から逃げるようにして、友人との付き合いや仕事に精を出す日々を送る。

そんな折りに、山からやってきた不思議な狼との出会いが、彼の生き方を大きく変える。

次第に、周りには狂人と思われる程、彼は別人のようになり、ついには孤独に陥る。

そして、今までに無い深い苦悩の中で、絶対の答えなど無い命の問題に、自分なりの答えを見つけようと決意し、険しい運命の道を歩み出す…。