ああ。
またこれだ。
愛しいあの人に会うたび包まれるのは
幸福感と高揚感なのに。
翌日必ず襲ってくるのは喪失感と後悔、
そして、溢れる愛しさと憎しみ。
無骨なあの手に爪をたてることも、
たくましいあの肩にすがることも、
美しいあの顔をそっと撫でることも、
できないこの時間を、
私にどうしろというの。
そばにいてほしいのに。
負け惜しみなのはわかってるのに。
抜けない。身体から抜けない。
質の悪い風邪みたいなあの人。
それを癒すお薬みたいなあの人。
その繰り返しに誘う、毒みたいなあの人。
“この人じゃなきゃダメだ”って
重たい勘違いが支配する。
愛してる人を愛し続けることは
愛してくれる人の愛にこたえることは
こんなに辛いのか。
自分勝手な私への、罰なのか。