「リサ、早く早く」

太陽が力いっぱい頭を熱する。

森が運んでくれる風なんて

太陽にはかないっこない。

「待ってよー。」

息を切らして必死に走っても

しゅうちゃんの元気には追いつかない。

野球になるといっつもこう。

なんにも見えないで

まっすぐな気持ちで突っ走るよね。

でも私知ってるんだ。

長い髪が視界をさえぎる時、

もう走れないって思った時、

真っ黒に焼けた手がすっと伸びてくるの。

「ほら、行くぞ。」

ってね。