「“涙”って書いて、“ルイ”って読むの」
そう言って微笑んだ彼女は、お気に入りだというビニールの傘をくるりと回して、僕が好きだと言ったばかりの歌を歌ってくれた。
彼女が歌うと、大粒の雨は次第に小さくなり、まるで彼女の歌声を自分たちも聴きたいのだとでも言うように、静かに、静かに降るのだった。
ルイ。
君は今、どこで歌っているんだ――
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*2007.12.12 執筆開始
*恋愛小説
*フィクション