「誰か…助けて…。」
一滴涙が零れた。俯いた眼から零れた涙が、ベンチの下に残っていた前日の雨でできた水溜りに小さな波紋を作った。
瞬間、一際明るく月が光った…ような気がした。ただ水溜りに電灯が反射しただけかもしれなかったが。
『やっと会えた。もう…大丈夫だよ。』
ふいに聞こえた優しい声に隣を見ると、もはや泣きじゃくる俺を見て、静かに涙を流し微笑む美しい女性が座っていた。
月の光に照らされたその女性は、まるで月の女神のように儚げで美しかったんだ。
切なく儚い純愛ラブファンタジー
『物語は作者だけでは完成せず。あなたが読み、何かを感じてこそ完成す。』
N.NAYS Novel1作目の「N. And Your Story」