伊東ミヤコ

悩みを抱える全ての人へ
仕事を辞め、アパートも解約し、33万円の所持金で、ひとときの一人旅に出発した、野絵。

ほわんとしていながら優しく、困っている人を放ってはおけない野絵だが、ときたま回想される断片的な過去の思い出から、大きな心の傷を負っていることがわかる。

そんな野絵が、「にょん」と鳴く愛らしすぎる犬、にょんさまを筆頭に、個性豊かな様々な出会いを経験し、旅の仲間が増えていく。

ミュージシャン志望の士音、大金持ちで小説家志望の詩歌、常軌を逸した美貌の持ち主である真砂、そして、暗い瞳を持つ、いすみ。

一見明るく破天荒な人物ばかりのようだが、きっとそれぞれに悩み、苦しみを抱えていることが感じ取れる。
旅の目的、彼らの取り決めは奇妙で現実離れしているが、丁寧な描写ですんなりと物語に夢中になれた。

小出しにされる、それぞれの人物の過去や事情に焦らされ、とにかく読む手が止まりません。
「恋愛禁止」とされる中で芽生える恋の感情も、気になってたまりませんが、旅を続ける中で彼らが知り、得ていくであろう何かが楽しみでたまりません。

これから、続きの巻を読んできます!