三船タケル(14)は ネットトレーダーの父、明(39)とタワーマンションの最上階で二人暮らしをしている。明は、毎夏、タケルを川越の実家に預けて、ラスベガスで散財するのを常にしている。
川越でタケルは農家の老人から、不思議な話を聞く。納屋の柱にある護符。秩父の三峯神社の眷属であるが、農産物を荒らす動物を退散させるだけでなく、人に付いた物の怪の類まで退散させる力があった。老人自身が子供時代、お手伝いがキツネ憑きになり、神社に相談に行った晩、一晩中、家の周囲を駆け回る狼の足音がしたとのことであった。
新学期になり片山 寛子(14)が転校してきた。隣席になった寛子は快活な性格でタケルに積極的に接近してくる。それまで、父に言われて、人にできるだけ関わらないようにしてきたタケルは戸惑い、寛子を遠ざけようとする。
おせっかいを怒鳴りつけた後、一週間登校しない寛子。罪悪感を覚えたタケルは寛子の誘いに乗り、ナイター観戦につき合う。ナイター観戦中、寛子が幼児返りしてしまう。タケルはさらに母親の片山 マリ(38)を男の声色で暴行する寛子に遭遇した。明に相談するが、明は自分には関係ないと冷たくタケルを突き放す。タケルは、母親である本田恵子(39)に相談する。恵子は臨床心理士の資格を持つDV相談員である。幼児時代の寛子への虐待を告白するマリだが、治療を拒否するマリ。タケルと恵子はマリの説得に成功、治療に成功すると思いきや、またも、寛子の暴力的な人格が出現する。老人の言葉を思い出し、三峯神社に寛子を連れて行くタケル。だが、神社の境内でまたも寛子の人格が変化して、遁走してしまった。
東京に戻ったタケルに寛子がタワーマンションの屋上に立てこもったと連絡が入る。屋上で寛子と格闘して万事休すになるタケル。そこに現れる白い狼の群れ。