読んだ後に、狐につままれたような気持ちになるかもしれません。

平成○○年、一月三日。時刻は深夜三時を過ぎていた。

祖父が運転するトラックに、当時小学生だった長嶺優子が一緒に乗っていた。

幼い頃から某県にあるお寺に毎年初詣をし、新年の挨拶と家内安全をお願いする為にお参りをするのが、長嶺家の恒例行事だった。

車酔いをしてしまう事が多い優子は、車の窓を少しだけ開けて外を眺めていた。

高速道路を走るトラックの開いた窓から、ビュウビュウと音を立てた冷たい風が優子の顔や体に当たり、暖房と冷気が混ざりあった車内で喋る人は誰もいなかった。