セミも鳴かない、うだるような夏の午後。公園で、昔飼っていた猫とよく似た黒猫に出会った。
懐かしさに胸を締め付けられつつ帰宅すると、その夜、見知らぬ青年が家を訪ねてくる。
彼は黒猫の「呂色(ろいろ)」だと名乗ったが、主人公には到底信じられなかった。
それでも妖怪のお祭りに招かれて、半信半疑のまま呂色に付いて行く主人公。
真夏の深夜に秘密の縁日。
駆け出す呂色に手を引かれ、幻想的な提灯の明かりの中に飛び込んだ。
「盆踊りでお面をしている人に話しかけちゃダメだよ」
「どうして?」
「あの世から、こっそり帰ってきてる人かもしれないからさ」
主人公は無事、現世に戻ることが出来るのだろうか。