幼少期から磨かれた演技力で「演劇部の女王」の異名をとった伊東由美。しかし、高校2年生の時、部長の横川先輩に告白されたことをきっかけに涙が出なくなってしまう。この事件をきっかけに思うように演技ができなくなり、女優ではなく裏方として演劇に関わり始めた。
大学に進学してからは、小学校のワークショップからの幼なじみ五十嵐慎に誘われ演劇サークルに入会する。始めは裏方としてのみ関わるつもりだったが、春公演で慎の相手役の女子が怪我をしたことをきっかけに再び女優として舞台に立つ機会を得る。
けれども、やはり高校時代に抱えていた違和感は拭えず思うようにいかない日々を送る。疲れが溜まり、大学内のキャンパスでうたた寝していると、「大丈夫ですか」と声をかけられる。どこか安心する声に伝う涙。由美は涙を復活させる糸口を掴んだのだった。
それから、由美は泣くためのトリガーを探すため、声の主である五條零に演技の特訓を申し出る。特訓の成果もあって昔の感覚を少しずつ取り戻すも、いまだ万全とはいえない状況で春公演を終える。
そんな最中、慎から演技練習として恋人にならないかと持ちかけられる。戸惑いつつも、「困らせない」という一言と、慎のどこか物憂げな表情に抗えず交際を始める。順調に2人でのデートを繰り返し交際を進めるが、ある時零を含めた3人で映画を見にいくこととなる。普段なら泣けないシーンで涙が出たことから、やはり由美は零が涙のトリガーであると確信を深めていく。
2人の関係を見て焦った慎は由美に練習ではなく本当の恋人になって欲しいと告げる。気持ちの踏ん切りがつかない由美は脚本家の陽奈にアドバイスをもらう。自分自身と向き合うことで、どうして涙が出なくなってしまったのかその原因の一端を突き止める。
果たして慎と零と由美の関係はどうなっていくのか
運命の男性との出会いによって、最高の女優の舞台が始まる。