私が祐介《ゆうすけ》を好きになったのは、私が中3、祐介が中2のとき、スタバでの出来事がきっかけだった。
祐介は貰ったお金でチーズケーキとレモンティを買い、領収書とお釣りを見知らぬおばさんに返し、何かを囁いた。
私はダイエット中なので、ケーキもレモンティも祐介とワケワケする。
おばさんがそそくさと立ち去った後、祐介に、何を囁いたのか訊ねた。
「本当はお金はあるんです。あれは姉で病気にかかっていて、お医者から、甘いものを摂ると発作が起きるからと注意されているので僕が監視してるんです。友達には姉の病気を知られたくないんで、お金が無いからと噓を言いました。御免なさい。でも有り難うございました。そう言ったらビックリしてた」
「えっ。私が!」
確かに『デートのときには借りてでもお金を持ってなきゃ駄目』と言ってお金をくれる善意の押しつけには困っていたけど……病気か。
私は急におかしくなり、お腹が痛くなるほど笑い転げてしまった。