高校最後の部活の大会を終えた清水春香を待っていたのは、受験生としての味気なくつまらない日常。
そんな生活にも慣れ始めた頃、彼女は毎朝電車で一緒になる年上の女性の存在に気づいた。
「ちょっと性格キツそうな美人」という第一印象とは裏腹に、春香は彼女の姿を見ることを次第にささやかな楽しみにするようになっていた。
名前も知らず、話したこともなく、相手を意識しているのはこちらだけ。
別に知り合いたいとも思っていないし、今のこの関係に不満など無い。
だが、春香は思わぬきっかけから彼女と親交を深めることとなっていく――。
【Palette No.2】