『…一つだけ伝えに来ただけなんです…貴方の愛おしい女が、貴方を裏切ったという事実を』
幼き頃の記憶は脳裏に焼き付いて一向に離れない。
冷た過ぎる銃を「女」の口に突っ込み、薄く笑ったあの人
気が触れた様に泣き叫び、「助けて」と懇願しながらあの人の足元にしがみ付く「女」
…かつてその二人は、恋人同士。
その仲を裂いたのは、私だった。
私が…あの「女」を殺したのだ。
『教えてくれて、ありがとう』
漆黒の特攻服が風に靡き、あの人はランドセルを背負っていた私の頭を何故が愛おしげに何度も撫でてくれたの。
やめて
優しくしないでほしいの
私は…貴方の愛おしい「女」を殺した女だから。