不思議な閃光を浴びて帝都の人間が皆、木に変わった。たまたま運良く結界のはられた中にいた三人は、人のいなくなった帝都を彷徨い出会うことになる。大正時代の実業学校学生作之助、高等女学校に通うきゑ、乙種音楽学校の女学生栞子の三人だ。三人はそれぞれ閃光のあとで無意識に何かを与えられていた。それがそれぞれ銅剣、銅鏡、勾玉だった。やがて三人は彷徨った後に、三人に共通性のある出来事に辿り着く。そしてそれがこの世の再生のために三人が選ばれた理由だった。
地底世界を使って地底人になりすましていた未来人。彼らの目的は酸素不足に陥った二十六世紀の世の中で必要な量の酸素をあらかじめ過去の世界で作り上げておけば、来たるべき酸素不足の未来を防げるという備えからの暴走だった。それによって樹木にされた人々。しかしそれは未来人たち自らの首を絞める行為に他ならない。そう自分たちの祖先を失い、失速する未来世界。そのパラドクスに苦しめられることが判明する。一度は怒りに燃えた三人だったが、一転して彼らを助けることにする。一部では彼らの野望を打ち砕き、犠牲者である樹木になった人々を元の姿に変えられるのか、その役目に選ばれた意味はなんなのか? 未来人の愚行を最初から知見し三人を最後の勇者として使わした高天の原神々のメッセージを頼りに彼らの冒険は続く。