ここは、北海道の北の果て。
小学四年のワタル君は、お父さん、お母さんを交通事故で亡くして、東京から、此処に住む、お爺さんの家に引き取られて来ました。
ワタル君のお爺さんの家では、アラスカンマラミュート系の犬が飼われています。この犬、生まれたばかりの子犬の時は、ぷにぽよ、で、毛玉のような身体つきなのです。歩き方も、ぽてぽて、こてん、と危なっかしい。村では、年に一度、犬ぞりレース大会が開かれます。
ワタル君の後を走る、ゆきチャンの腕に刺さってしまいました。夜になって、ゆきチャンは、高熱を出し、意識も朦朧としてきたのです。救急車とか、ドクターヘリで町の病院に連れて行こうにも、天候は大荒れです。携帯電話も、緊急無線もつながりません。
ワタル君のお爺さんと、ワタル君は、犬ぞりで、町の病院に薬を取りに行くことにしました。