誰もが皆、魔力を保持している世界で、魔力を持たずに生まれた真緒(まお)。
孤児院に身を寄せる彼女には、いつだって傍で寄添ってくれる陽彩(ひいろ)が居た。
真緒とは正反対に、魔力を多く内包する陽彩。
彼が傍にいるだけで、真緒は魔力を持つ者と同じように日常生活をおくることが出来る。
孤児院という特殊な環境は、子供同士のマウントの取り合いだ。
ちょっと内気で優しい陽彩は、周囲の標的になりやすい。
運動神経と正義感は人一倍持ち合わせていた真緒はいつも、そんな彼を(物理的に)守り、支えていた。
お互いを支え合って生きた二人が離れ離れになったのは十歳の秋。
やがて月日は流れ、十七歳の春。
引き取られた子爵家の爵位を継承するために通うことになった学校で、再び二人は巡り会う。
恋に鈍感な女の子と、好きを拗らせた男の子の、(きっと)純愛な物語。