一ノ瀬愛美は16歳。剣道が得意なだけの平凡JK。しかしある日交通事故に遭い、トリップしたのは、魔族が人間を蹂躙する荒んだ世界だった。
「お初にお目にかかります、陛下」
「……はい?」
目の前に現れた美形魔族に『陛下』などと呼ばれてしまった愛美は、自分がなんとこの世界で『魔王』と呼ばれるべき存在らしいと知る。しかも、亡くなった先代魔王は悪逆非道の冷血漢で、世界全土で人間と魔族の戦争状態なのだと聞かされる。
普通の女子高生が、魔王として人間と戦うなんてこと、できるはずがない――。
絶望し魔王城から脱走した愛美は、伝説の不死鳥の手を借り、変装ののち外の世界に赴く。しかし降り立った島で、自分を魔王だと知らない魔族に捕まってしまう。そしてその投獄先でなんと、捕虜となっていた人間の国の王太子・レンに出会う――彼はなんと転生した元日本人だった!
二人は協力して牢を脱獄、二人で人間と魔族に戦争を止めると決意。そしてこの戦争を描き出した全ての元凶が先代魔王であったということを突き止め、彼の亡霊を討つため、打って出る。そして決戦ののち、二人は次の王として、魔族と人間の戦争を止めることに成功したのだった。