二学期初日の朝、夢である女の子の声を聞いた高校二年生のアキト。
聞き覚えはないけど、どこか懐かしさに溢れた声。
この声の持ち主はどんな人なんだろう。
なんとなくただ無難に毎日を過ごしていた彼に起こった奇妙な出来事。
でも、奇妙な出来事の一つ一つに、必ず特別な意味があるわけではない。そもそもこんな僕に”特別な何か”なんて起こるわけがない。
アキトはそう思っていた。
しかし、そんなアキトのクラスに転校してきたのは、その声の持ち主である冬野未羅だった。
何かを隠しているが、一方で何かを訴えかけてくる、矛盾しているような彼女の言動に徐々に惹かれていくアキト。
そんな彼は願ってしまったのだ。
その秘密を知りたいと。知る覚悟なんて元からありはしなかったのに。
そして、全てが終わってから明らかになる未羅の誰にも知られてはいけない”秘密”とは———。
気づいた時にはもう遅いかもしれない。しかしそんなことこの世では数えきれないほど起こっている。
限られた時の中で、気づいた時にはすでに遅かったとしても、それでも自分の中で”答え”を見つけられれば、それはきっとかけがえのない思い出になる。そして、”答え”を見つけられなかったとしても、人は前に進むしかない。
選択することの難しさ。そして、失ってから気付く何気ない日常の愛おしさ。
そんな誰しもの身近に溢れているものに目を向けようと思えるSF恋愛小説です。
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