どうかこの出会いが、幸せなものでありますように――
ようこそ、時計屋『山荷葉』へ ~幸せ探しの時旅~/haruki
大学三年生の藍沢姫奈(あわざわひな)は、春があまり好きではない。それは、一昨年のある出来事を思い出してしまうから。
姫奈は地元の大森駅付近の裏路地の奥で、時計屋山荷葉(とけいやさんかよう)という、古びた時計屋を見つけ、目を止めてしまう。なぜなら時計屋なのに、店の中で白い花がきれいに咲いていたから。
そこで店主の山荷葉幸士郎(さんかようこうしろう)という、紳士的で、どこか不思議な男性と出会う。
時計屋山荷葉で咲く、山荷葉の花には不思議な力があって――