お仕事小説です。
デザイナーを夢見て専門学校に入学した川久保千夏は夢破れて、鉄鋼会社の派遣社員として働き始める。右も左もわからない理系職場で奮闘する千夏は、そこで主任の阿良川明と出会う。温厚で真面目な阿良川に千夏は好印象を抱くが、典型的な理系変人で奇行の多い阿良川は派遣仲間から嫌われている。
そんなある日、千夏はネットに流出した画像から、阿良川が売れない小説家・黒森港であることに気付く。
阿良川の奇行の裏に執筆活動という理由があった事を知った千夏、理系と文系の間をぎこちなく行き来する阿良川を最初は面白がって観察していたが、いつしか仕事と夢を両立する姿に尊敬を覚えるようになり、陰ながらその活動を支えるようになる。
阿良川の副業に気付いた派遣仲間が会社にバラそうと企めばそれを食い止め、黒森の顔写真を流出させていた人物がわかれば居場所を突き止めて画像を削除してもらい、阿良川が落ち込めばツイッターで作品を褒め、裁縫の技術を活かして黒森作品の登場人物のコスプレをしてバズらせるという形で励ます。あくまで阿良川の正体に気づかないふりのまま応援を続ける内、千夏は再び夢への情熱を取り戻していく。