――― あらゆる想いの境地に至る。人の心に穴があく。
霧ノ病と呼ばれるその症状は、人々を魔物(キメラ)と化していった。
一人は国一番の臆病者と揶揄されて、なお主人たる番人を想い強い未練を残した。亡国ノ英雄。
一人は自身の犯した罪により愛しい人の寿命を縮め。自身の鼓動により、その命を繋ぎ止めている。帝国ノ異端審問官。
一人は英雄の未練と記憶を継承し翻弄され。かつ想い人の傍に居続けるため、恋心の封止忘却を繰り返す。堕落しかけの魔導兵。
はじまりの舞台は、多国間戦争を経て統一されたアルシオン帝国。
霧ノ病を呼び込んだのは、彼ノ戦により滅ぼされた亡国シャンテの民の生き残り、フェレンスではないかと噂される。
故国・シャンテ。王族と高官の多くは学者でもあった。
彼らは賢者(ヘルメス)の齎した叡智の結晶である翠玉碑(エメラルド・タブレット)を保有し、安息の地エデンと神ノ意識(スフィラ)の関係性を探り扉を開くべく、地上ノ王(アルシオン初皇帝)と手を結ぶ。しかし、ある事から決別。滅亡の道を辿った。
フェレンスの諸遇について。
彼は故国の末裔であり戦犯として扱われるが、彼ノ戦において12枚に砕かれた聖碑のうち失われた一部、《禁断ノ翠玉碑》を探し出す事を条件に恩赦を受け、帝国軍管轄下・高等錬金術師団に所属。任を受けている。
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