阿佐ヶ谷のまちで再開した同級生三人の人生。不思議で優しい世界が生まれる。悲哀や苦難と言える経験が優しさを育てる。この物語は、そんな大人の良識を持った彼らのハートウォーミング・ストーリーである。 加佐子の高校時代の恋は不完全燃焼で終わった。その数年後、人生の行きづまり感に苛まれる。そして加佐子が理不尽にフッた元彼の純夫との再会。彼女は初めて素直に自分の当時の境遇、さまざまな劣等感を彼に伝える。それと一緒に、かつての無礼に謝罪もした。すると彼から加佐子の憧れの令嬢だったあの真珠もまた、恋も人生も不完全燃焼だったものと知る。ひょんな事で庶民として生活している現在の彼女とも再会することになる。そんな二人の女性と軸となる男性の純夫の恋模様と人生模様。彼らのそれぞれの青春の忘れ物を探す日々が阿佐ヶ谷の町を舞台に繰り広げられる。