18世紀、京都近郊の巨大前方後円墳上に建つ『天獄座』と呼ばれる、治外法権の街があった。
遊郭と賭場と酒場に特化された欲望の街は、四方を高い柵で囲まれた要塞都市でもあった。
堺の豪商『陣屋宗右衛門《じんやそうえもん》』は、巨大利権を生み出す天獄座を我がものにせんと、貿易商『姫室《ひめむろ》リリム』の手引きで、オランダ海軍マイヤー提督から『腐餓鬼《ふがき》(ゾンビ)』を買いつけ、天獄座を見下ろす雲辻山麓の青鹿村に放った。
数時間で村民を喰い殺し、百体近くの生屍人《いけしびと》に増殖した一群は、陣屋の目論見通り、次の狩場として天獄座を襲撃する。
阿鼻叫喚の地獄絵図と化した天獄座で、腐餓鬼の群れを迎え撃つのは、青鹿村の生き残りで親友雪を腐餓鬼に連れ去られた、天才マタギ少女の『アギ』と薬師『鶴丸』。
そして月華楼の花魁『霧月《きりつき》』と用心棒『沙宮異蔵《さみやいぞう》』、天獄座見廻り組羽黒一家頭目『羽黒業《はぐろごう》』らアウトロー達であった。
陣屋を操るマイヤー提督とリリムの真の目的が、天獄座の東に位置する京都殲滅と日本植民地化であることを知ったアギ達は、それを阻止すべく腐餓鬼もろとも天獄座爆破を決意するのだった。
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