中華風異国、青儷国が舞台。手をかざすだけで、傷を治す異能を持つ少女、小桃。明るく、能天気な性格。自分よりも貧しい人達の世話を焼くクセがあり、借金がある。
ある日、小桃の噂を聞き付けた皇帝の静陵が、村に使いを寄越してくる。
最初は断る小桃だったが、借金を返して、夢だった孤児院を作ったとしても、ありあまる程の金を渡される。
金に目がくらんだ小桃は、泣いて止める幼なじみの夏天を振り切り、宮廷入りすべく都へと旅立った。
皇帝である静陵は、冷ややかな眼差しの美男子だった。
先帝が急死し、3年前、17歳にして皇帝に即位した静陵。
先帝は、皇帝の座を得るため、気を操り、人を殺める異能者を使い、式典の場で兄2人を殺害した。
静陵も争いに巻き込まれ、叔父から背中を切り付けられ、大きな傷を作った。
先帝は強引に皇帝の座を奪い取り、己に楯突く者を次々に殺害した。
多くの高官、役人が死んだ。
叔父たちの後宮は取り壊しとなり、皇帝になるはずだった長男、儷冠の妃と娘の行方は分からぬままだ。
宮廷に遣えるものは、皆が怯え、先帝を恐れた。
誰が異能者なのか分からず、疑心暗鬼となり、互いを疑い、罵り合う。精神を病んでいく者も多く出た。
拠り所のあるものは、次々に宮廷を去り、残ったものは皆、口をつぐんだ。
先帝が急死し、静陵が即位してからは、不審な死を遂げる者はいない。
だが、一人歩きした宮廷にまつわる噂はそう簡単に消える事はない。
誰もが宮廷で働くことを恐れる。おかげで、この宮廷は慢性的な人手不足に陥っていた。
宮廷に来た小桃は、頬に大きな傷を持つ少女、香林の傷を綺麗に消し去った。
傷のせいで、婚約を破棄され、自暴自棄になっていた香林は、傷が治って、明るさを取り戻した。
男に絶望し、仕事に生きることにした香林は、小桃に恩義を感じ、小桃付きの女官として、入宮してくるのだった。
小桃は、手入れが行き届かず、荒れ地となっている宮廷の庭に花と作物を植えた。
皆を巻き込み、宮廷のイメージを一新する作戦を立て、徐々に周囲に受け入れられていく。
また、香林が、学友を中心に宮廷が安全な場所であるという噂を広め、宮廷での職を希望するものが増え始める。
以前とは、確実に宮廷が変わり始める。
皇帝として、感情を悟られる事を恐れ、常に心に鎧を纏っていた静陵だったが、小桃の、嘘のない真直ぐな言葉と表情に
いつしか安らぎを覚えていく。小桃もまた、初めて見せた静陵の笑顔の美しさに、今まで感じた事のない感情を抱く。
過去のトラウマが原因で発作が起こり、眠れず体調を崩す時があったが、小桃が来てからは、発作が起きない事に気付いた静陵は、小桃に添寝の仕事を与える。寝間で交わす言葉は、あまりにも違い過ぎる2人の距離を急速に縮めていく。
初恋同士の2人。恋に不器用なあまり、互いの恋心に気付かない。
そんな中、小桃が誘拐される。危うく、隣国に売り飛ばされる所を、ある人物に助けられる。
その人物は、異能を使い、誘拐犯を殺害した。
異能者は…静陵の身近にいた人物で‥。
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