人が死んだら、火葬場ではなく「加葬場」に行くようになった。そこで人体は、宝石に加工される。
出来上がる宝石の種類や大きさ、個数などは人それぞれ。若い人ほど宝石が多くなったり、綺麗な人が死ぬとそれは綺麗な宝石ができる、なんて噂もあるが真偽の程は定かではない。
お墓という概念は薄くなり、墓石のような場所に宝石の一部を埋め、残りは親族がアクセサリーなどに加工し「親族と常一緒にいられるように」と携帯することが多くなった。
その変化に伴って起こるようになったのが、人体から生成された宝石の取引、売買。著名人の宝石は、どんな小さなカケラであろうと数億円の価値がつく。
どんな人のものであっても、人体から生成された宝石は、基本的に質が良いので高値で売れる。
親族のいない人の宝石、誰のものかもわからない宝石、果ては故人の遺体から改めて生成し直した宝石…そんなものが世界に数多く存在するようになった。
新しい葬送の形。
それが宝石葬、だ。
これは、その宝石を扱う宝石商と
ただ1人の青年のお話。