★「魔法のiらんど大賞2020」にてコミックシナリオ大賞を頂きました。
※現在フロースコミックにて連載中
※シナリオの内容と連載内容は相違があります
「2本脚で歩くって、難しい……」
そう言ってルカニアは生まれたての小鹿のように山中を歩く。
前世、この国の王子が「何よりも愛する私の宝」といった愛馬だったルカニア。牝馬ながらどの馬にも負けない実力を持った彼女だったが、国の跡目争いの内乱の際、王子を守るためにその命を落としてしまう。
王になった主を見たかった。その最後の願いを叶えるかのように、次に目を覚ますと人間の姿になって山の中に転がっていた。主であるラディウスの安否を確認したい!と町に行こうとするも、四つ足で歩いて膝を擦りむいてみたり、そのあたりの草を食べて吐いたりと人間と馬の違いに四苦八苦して一夜を過ごす。やっと町にたどり着いたルカニアだが、城では門前払い、人間社会へのあまりの無知さに奴隷と間違えられ、王になった主ラディウスと一介の人間(しかも元馬)な自身の差を知ることになる。自分は姿形も変わり、もう彼には分からない、必要とされていないかもしれない。けれど、彼女が思う事はただ一つ。
一目でいい。もう一度会いたい。
これは、主に溺愛された元馬の少女による、少し異色な献身と愛の物語。