大御所声優、羽沢真子（はざわまこ）。８５歳を超えても演技に衰えはなく、今日もアニメ映画の収録を終えスタジオを後にする。タクシーにて帰路に就くが、行き先は自宅よりも少し先、「山下公園」。ベンチに座り、電話帳サイズの台本を確認する真子。「前回より薄いはずなのに、まだ手が震えてる。やぁね、あたしもそろそろ……泣き場所は……の胸だけって決めてるのに」そう呟くと、真子は眠りこけてしまった。
ベンチで一晩を明かす真子。友人ミチに起こされ、今日が進級試験日と告げられる。アニメ映画のアフレコ収録日翌日。時間経過は正しいが、真子の年齢は２０歳、声優養成所生になっていた。違和感を覚えつつも、真子は横浜市内の養成所へ向かい、進級試験に臨む。進級試験台本の一部は次の通り。
「手榴弾、マシンガン、バズーカー、云われたものは全部揃えた！それがたったの……ＯＫ、２０万ドルよ。でもね、いつまでもこんなビジネスが通用するとは思わないことね。そのうち、寝首を掻かれることになるわ。さようなら」
安過ぎる！と訴えていたにも拘わらず、突如２０万ドルで良いとした違和感。そこに勝手な台詞を入れず、どう演技で成立させられるかが進級の鍵であり、真子は「依頼者側のリーダーが、自身の喉元にナイフを突きつける演技」にて、成立させた。それでは甘いと指摘し、依頼者グループ全員から拳銃を突きつけられる演技を行った上尾。依頼者から、自身の家族をモニタリングされている画面を見せつけられ、屈服する演技を見せる山神など、強者揃いの本科生が進級した。
研究科では、腹式呼吸の意義や鍛錬方法、日本語の母音は何故５音なのか、日本語アクセントの規則なども学ぶ。そんなある日、台本読み訓練につき、「台本にない掛け合う相手のイメージの乏しさ」に、研究生全員が表現しきれず後悔する。その姿を見て、講師水島は「こいつらなら」と、所属付き舞台オーディションの開催を決めた。
無事、所属と舞台出演を決めた真子達４人グループだったが、人気俳優津田の洗礼に遭う。それでも何とか乗り越え、舞台を無事終わらせることの出来た真子、ミチ、上尾、山神の４人だったが、またもや津田が４人に絡む。
津田から渡された「年末時代劇オーディション台本」に、読解力・想像力が追いつかず、太刀打ち出来ない処ではないショックを受ける４人。「これがテレビ……」。だが、不思議と笑いしか出ない４人は、声優であることを誇りに思い、今まで以上に邁進するのだった。
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