高次元エネルギーを匂い分子として抽出に成功した世界。
調香師は、匂いを組み合わせることで、治癒や召喚など多種多様な能力を発揮する。
まるで魔法使いのような存在の調香師は、人々の敬愛の対象となっていた。
主人公センカも、そんな調香師に憧れた男の子。
努力の甲斐あって、調香師育成学校での成績もついに上位となれた。
だがその直後、病にかかり、後遺症として嗅覚を失う。
全く匂いのしない世界での調香は上手く行かず、瞬く間に最下位になってしまう。落ち込んで不登校に。
嗅覚を取り戻すために、センカは4大調香師の1人、ネガイの元を尋ねる。
全く相手にされずに門前払い。イケメンでもぶっきらぼうの偏屈な男で、話しても無駄だと一度は諦める。
翌日、学校が大火事となる。そこへ現れたネガイは、召喚した不死鳥を引き連れての救出と、作った豪雨による鎮火。
初めて目にする桁外れの力に、センカは弟子入りを志願。即刻断られるが。
何度も通い続けるうちに、ネガイが営む香水屋のバイトとなり、感覚鋭敏化の香水を譲ってもらう。
治るかもと期待するが、やはり嗅覚は戻らない。
学校を辞めようと思うが、友人から「努力を続けられることが君の力」と言われ、涙する。
自主退学は思い留まるも、どうすればいいのか答えは出ない。
ある時、センカは感覚鋭敏化の香水をぶちまけられて、夜の森に放り出される。
静かな暗闇の中、雨粒はキラキラと綺麗で、植物の音が大きく聞こえる。
世界は匂いだけではないのだと、改めて気付く。
「嗅覚以外を使った調香を、教えてください」
無くしたものを嘆くのでなく、あるもので努力を続けるセンカの真摯な姿に、周囲との関係も確かなものへと変化していく。友人の励ましや、不器用なネガイの教えを受けながら、徐々に技術を取り戻していく。
学校にも再び登校するようになり、体育祭が終わった頃、友人が突然死んでしまう。
病が原因という話だったが、犯人が笑いながら名乗り出る。
「死臭を入れた香水。効き過ぎて死んじゃった」
死臭を使うことで、香水は強力で半永久的な効果を有するようになる。ただし、その材料は人道的なものではない。
少なくとも、いたずらに死に追いやられた友人の死の事実にセンカは復讐に憑りつかれる。
センカはネガイ達と共に、死臭を使った調香師との因縁に巻き込まれていく。
大人達に支えられ、時には支え返し、成長し、世界をあるべき姿へと導くために戦っていく。