“マモノ”と呼ばれる、人の負の感情から生まれる異形のモンスター。そのマモノを人知れず退治する存在“魔法少女”と呼ばれる少女達が居た。月島摩子もその一人だ。だが彼女には他の魔法少女と大きく違う点が一つあった。それは……年齢だ。とても「少女」とは言えない彼女も今年で30歳になる。恋人はおろか、趣味の乙女ゲームにハマり、借金までしてしまう体たらく。マモノを倒した後は人気の無い公園で一人缶ビールを飲むのが日課になっている。かつて共に戦った魔法少女の親友も結婚を控え、「あんたまだ魔法少女なんてやってんの?」と言われてしまう。来る日も来る日も仕事とマモノ退治に追われ、嫌気の差す毎日。かつてあんなに輝いていた魔法少女としての自分。青春を魔法少女として捧げ、現在自分には何も無い事を悟った摩子はついに魔法少女を卒業する事を決意する。
しかし、自分を魔法少女にしたネズミの“使い魔”(マスコット的なヤツ)のチーズに「変身出来る以上は戦ってもらいたい。どうしても卒業したいなら、後釜を探すことだな」と言われ、しぶしぶ自分の後釜となる魔法少女を探す事にするのだが、どの魔法少女も自分の街を守る事で精一杯。何かとストレス社会の現代では、魔法少女も大忙しなのだ。
それでも後釜探しを続けている摩子の前に若く、フレッシュな魔法少女が現れる。水樹遥15歳。彼女は摩子の隣に最近引っ越してきたばかりの中学生だった。さっそく彼女を後釜にしようと距離を縮めようと試みる摩子だったが、遥の生意気な態度と、心の底からアラサーの女をバカにしたような言動に衝突を繰り返す二人。
そんなある日、遥が突然家に訪ねて来る。理由を聞くと、遥の両親は離婚をしていて、母親に引き取られたのだが、母親は男を作り、遥を邪険に扱い、家に居場所は無いと言う。「よくある話よ」とツンケンした態度に戻る遥だったが、その表情は何処か寂しそうだった。そんな話をしてからも距離を縮められずにいる遥。そんな遥の前に通常の形態のマモノとは違うマモノが現れる。巨大で巨悪なマモノに苦戦する遥。とうとうマモノに追い詰められ、とどめを刺されるその瞬間、摩子が間一髪の所で遥を救い、マモノを倒す。遥は、摩子の魔法少女としての実力を認め、弟子になる事を決意し、住み込みで修業をつけてもらう事も勝手に決めてしまう。
こうしてアラサー魔法少女、摩子の生活は一変し、ピチピチの魔法少女との共同生活が始まるのであった。果たして無事、魔法少女を卒業する日は来るのだろうか?