真琴は恋愛物語好きの女子大生である。ありとあらゆる恋愛フィクションに触れ、あらゆるイケメンを見てきた。しかし、現実には恋心を奮い立たせるような男性は存在しなかった。
ある日、真琴の目の前に美青年が現れる。彼は同じ大学に通う同級生で、奏毱と名乗った。彼はなんと、一日ごとに性格も口調も、見た目までもが変化してしまうという、「キャラ変」特異体質の持ち主であった。真琴のイケメン好きを知った奏毱は、ある頼み事をする。それは、奏毱が「最強のイケメン」になるのを手伝って欲しいというものだった。実は奏毱は真琴に好意を持っており、「最強のイケメン」になることでそのハートを射止めようと考えたのだ。そのことを知らない真琴は大喜びで、ありとあらゆるイケメン作品を引っ張り出し、奏毱を鍛えた。
日々別人のように変化する奏毱と交流するうち、真琴は自分の夢見ていた理想のイケメン像までもが揺らぎ始めていることに気づく。そして、どんなに突飛な「キャラ変」をしても奏毱の奥底には常に芯があることを知る真琴は少しずつ奏毱に惹かれていき、奏毱もまた、なんとか真琴のハートを射抜く「最強のイケメン」になろうと奮闘するのだった。