《物語全体のあらすじ》
田舎の全寮制の高校に通う主人公、宮野うた(16)。うたは初恋のようなものの経験はあるものの、それが本物の恋だったと確信が持てず「恋愛感情ってなんだろう」というような疑問を抱えながら日々を過ごしていた。
クラスの男子に別段ときめくことはない。女子寮だったため同室の子と行為のようなものをすることもあったが、だからといって恋愛感情があるわけではない。
そんな答えの分からないことを考えながら、実家に帰省した夏休み。今年は4年ぶりにいとこの木下晴斗(23)も家族と一緒に帰ってくるのだと親に聞く。晴斗はうたの初恋の相手だと思われる人だ。彼女と過ごすから、と晴斗が帰ってこなくなったこの4年の間に恋かどうかが分からなくなってしまっていた。しかしいざ久しぶりに会うと、少しときめいてしまう。2人きりのときに晴斗から「彼女と別れたから今年は帰ってきたんだ」と聞く。うたは勢いでつい告白してしまう。晴斗には断られてしまうが、晴斗の中でほんの少しだけうたの印象は変わり関係が進展したように見える。
しかしそのあと2年は晴斗が顧問をしている部活などの関係で帰ってこれず、ほぼ進展しないままうたは大学生になった。
県内の大学に進学し、一人暮らしを始めるうた。片付けをしていると親がいきなり晴斗を連れてくる。今年からこっちに赴任となり、勤務先も近いからどうせならとうたと同じアパートに住むことになったらしい。
これはチャンスだ、と晴斗のもとへ度々向かううた。しかし思うようにいかない。まだ子供扱いされているように思う。晴斗に釣り合うためには大人にならなければ、と考える。そこで大学の同級生であり隣の部屋に住んでいる仲のいい仁科大輝(19)に自分を抱いてくれ、と頼む。元々うたが好きだった大輝は了承する。
処女を捨てられたうたは少しだけ自信を持ち晴斗の元へ向かうが、やはり進展はしないどころか簡単に体を差し出したことに対して叱られてしまう。その一方大輝は、それからうたへの好意をあまり隠さないようになる。
ある日晴斗が知らない女性と部屋に入っていくのを見て、落ち込むうた。それを親身になって励ましてくれる大輝。うたの心は晴斗と大輝の間で揺れ動くようになる。
うたはどちらの恋を本物に選ぶのか…。