世界を救うという重責に追いこまれた勇者――アルストロは、他人に強く当たってしまい孤独な人生を送っていた。異世界に転生してきた人物から、どうやら魔物のいない世界があるらしいと知ったアルストロはこう告げる。
「君には僕よりも強いスキルがある。勇者交代だ。この世界は頼んだぜ」
それからというもの元勇者となったアルストロは「転生」を研究し、ついに転生魔術を完成させた。見事現実世界に転生し、魔物のいない気ままな生活を謳歌できると喜ぶアルストロだったが、体は女性、街には魔物が現れて――
「もしかして失敗してる?」
勇者が勇者たる所以の〈魔剣〉によって、転生魔術にひずみが生まれ、不完全な転生を果たしてしまったアルストロ。自身の不始末が招いた結果だと推察し、魔物対峙に奔走する。そんな中、現実世界で極秘裏に組織されていた魔物討伐部隊〈SCC〉が彼女に接触。アルストロは危険人物として身柄を確保されてしまう。自由を奪われたアルストロは
「まだ危機が去ったわけじゃない。むしろこれは始まりだ」
と自分の不始末を棚に上げて警告する。SCCの監視下に置かれた彼女は、身の潔白を証明するため魔物討伐に勤しむのだった。