【後書き】
逢う時はいつも、雨。そんな恋人達を書きたいなあ、と思っていました。
ふっと浮かんだタイトルは「あおによし」。
……なんだっけ、この言葉。
調べてみたら、この歌に行き着きました。
「あをによし
奈良のみやこは 咲く花の
にほふがごとく いまさかりなり」
萬葉集の巻三の328番目、小野老(おのの おゆ)が詠んだ歌です。
『あおによし』は奈良の枕詞でした。
”そうだ、奈良へ行こう!”
と、いうわけで主人公二人の奈良行きが決定しました。
原文は万葉仮名で書かれており、次のとおりです。
(青丹吉 寧楽乃京師者 咲花乃 薫如 今盛有)
英語に直すと、こんな感じになるそうです。
The capital at Nara
beautiful in green earth
flourishes now
like the luster
of the flowers in bloom
Raining and love has been falling
奪う雨もありますが、この小説を読んでひととき、幸せな雨が降りますように。