『私は金魚鉢の中で、あなたを飼っている』
季節は夏、世間ではお盆と呼ばれる時期。
一人暮らしをしている主人公の部屋に突如現れた、水の入った金魚鉢とその中で眠る少年。主人公は原因を探してみるが、自分と同じ症状が書かれた物はなかった。
金魚鉢と少年が現れてから一年、少年は目を覚ますことも無く主人公はそれを持て余していた。その日は実家に帰る予定があり、両親と共にお墓参りへ向かった。主人公は体調が悪くなりお墓参りへが出来なくなってしまう。
蝉の声によって蘇った昔の記憶が、主人公を苦しめる。
流れる水の音も、つんざく蝉の声も、肌を焼く陽の光も。全てがあなたに結びついて、私は私を許せない。
夏の思い出たちは主人公に何を語りかけるのか。
金魚鉢と共に現れた少年は一体何者なのか。
「わ、私を……殺しに来たの?」
夏に溺れた物語を、あなたに送ります。