趣味小説家、田狩里留(たがりさとる)を敬愛するブレメル星人は、彼の物語を受け入れない地球文明を完全に破壊した。調査官であるフロスの手によって地球人のデータは保存されていたが、復元する為にはブレメル星の承認が必要。その最低条件は、里留の平穏で凹凸の無い物語を広める事。しかし、全く面白くないという大き過ぎるハードルが横たわっている…。
里留は、子どもの頃、両親を殺された。心の奥には、今も復讐心が存在し続けている。決して忘れる事無く、いつか討てる日を願っている。しかし、勇気と言う名の導火線が無く、願いは遠い。
ところが、崩壊した地球はチャンスを与える。死のきっかけを作ったリヴィア、仇のガゼットと出会わせ、足りない導火線に相当するヴェノスを内に宿らせた。しかし、リヴィアを大切に想うようになり、復讐を抑え込むように。代わりに、ヴェノスの復讐を叶える約束をする。
里留を狙う敵、復讐への執着、横たわる障害を越えてヴェノスの復讐は成される。しかし、代償は大きかった。ヴェノスの作用によって膨れ上がった復讐心は、魔王と称する程となり、耐えきれなくなった里留を滅ぼした。
全てが終わり、地球は元に戻る。だが、そこに里留は居ない。リヴィアは、現れる事の無い彼にいつものように尋ねる。
「魔王様は?」
応じる声は……。