英国貴族ヴィクター・K・グッドウィル伯爵五十歳。
由緒あるグッドウィル家の当主であるヴィクターだが、貧乏な没落貴族で、裕福な中流階級の娘マーガレッタと結婚したため、家の実権はすべて妻マーガレッタが握っていた。
ヴィクターが五十歳の誕生日を迎え、盛大なパーティーが催されたその日、最悪の事態が起きた。マーガレッタに長年の浮気を理由に、屋敷から追放されてしまったのだ。
途方に暮れたヴィクターは、同じ伯爵で親友のジェフ・ダブを訪ね、彼の提案でまだ知らぬ日本へ行くことになる。
しかし、日本でいつもと変わらぬ生活をしていたため、すぐ金がなくなり、頼みの親友とも連絡がつかなくなったヴィクターは、公園で不良たちに絡まれてピンチに陥ってしまう。
ヴィクターを救ったのは、ダンカンというアメリカ人青年だった。訪日する外国人の世話をするのを仕事にしているダンカンは、ヴィクターの世話も買って出る。
狭い畳敷きの部屋を提供されたり、一度もやったことのない労働をするハメになったり、大借金を背負わされたり、ダンカンにヒドイ目に遭わされつつも、ヴィクターは、英国にいたなら、まず会うことのなかった人々と触れあいながら、人として成長していく。