戻りたいけど戻りたくない、つらくとも懐かしい思い出話
過ぎた日々に戻る
死んだはずの人間に出会った。そんな噂があちこちで聞こえ、「死者戻り」という現象として囁かれるようになった。都心の大きなマンションで一人暮らしをしている春乃は、仕事中心の生活の中で何一つ不自由ない、代わり映えのしない日々を送っていた。しかし突然そこに、数年ぶりに大学時代の先輩・角崎が現れる。今は同じ職場で働いているはずの彼に、開口一番「居候させてくれないか」と問われた春乃は訝しげに事情を問い詰める。やがて告げられたのは「僕は死者戻りに成功したよ」という言葉だった。