*極短小説をブログに書いてみようという勝手な試みです*
「森元さーん、宅配便でーす。」
来た。
奴が来た。
玄関のドアを開けると本日も爽やかな長身のイケメンが小包みを持って立っている。
「・・・胃腸風邪になったんだけど。。」
おもむろに絶不調を申告する私に首をかしげる様子もなく彼は仕事に徹した。
「じゃあこちらに印鑑お願いしまーす。」
「・・・・・」
無の反抗。
私は印鑑も持たず、きゅっと上がった彼の口元を見つめる。
その反抗に彼は小さく脅しにかかる。
「・・・・この小包み欲しくばさっさと印鑑を寄越せ!」
「じゃあこの胃腸風邪をリリースさせて?
キャッチ&リリース。」
「いやだ!!胃腸風邪まじツライもん!!」
「あんたが私に移したんでしょ??」
「あんたが俺を誘ったんでしょ??」
「誘った覚えはないね。
「食ったろか」って言っただけじゃん。したらあんたがキスしてきたんじゃん!」
「キスしたら家にあげてくれたのはどこの誰かね?
大体ほんとにそれは俺からキャッチした胃腸風邪かよ。」
「・・・・」
「どーせ他の男からキャッチしたんじゃねーの?」
「・・・・」
よし。
今完全に私が優位に立った。
この瞬間を待っていた!
水面下にいるお前を引きずり上げてやる!
「・・・私、あの時処女だったんスけど。
気付かなかった??」
「・・・・」
30処女はキツいからあんたに初めてを捧げたんだよ私は。
うちの区の担当だったあんたに会うため、
何度たいしていらないもんをネット注文したことか。
ずっとあんたのこといいなあと思ってたんだよ。
「こないだ来た時さ、玄関に保険証置いてあったよね?」
「ああいつも玄関の小物入れにいれてんだけど・・・・何?病院行けって?」
彼が人質にしたはずの小包みを私に渡してきた。
「お誕生日おめでとうございます。
よっ!30オーバー!!」
「・・・・え?!」
「保険証の生年月日みて今日来たんだけど。」
「・・・・ま・・・マジですか・・・。」
あれ?
もしかして私がキャッチされてしまった??
「・・・まさかこの小包み・・・胃腸風邪の薬・・・?」
「しまった~!!そのオチは思いつかなかった!!」
でも胃腸風邪はリリースしないで病院に行った。