音火



部屋の中には鍵の壊れた本棚と椅子の無い机が見える。
部屋に入ると、扉が独りでに閉じた。
外からの光源を失い、机の上の球体が放つ妙に緑がかった青白い光を受けながら本棚へと近付くと、気配を感じて振り返る。
誰も居ない。
然し少女の声が聞こえてきた。


あなたは誰?
如何して此処に居るのかしら。
……まあ良いわ。
ここは家主の書斎。
そして私の読書室。

読みたい本が有るな…

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