武潤溺愛人間

吹き抜ける春の風に髪を掬われた。
見上げた空は果てし無く澄わたり、僕達は二人、太陽の光を散散と受ける。
そしてきつく手を繋いだ。
幾ら僕達が愛し合っていたとしても、その証はこの世界には残せない。
この世界には、何ひとつ残せないから。
だからせめて、今だけでも温もりを分かち、優しさを感じ、弱さを受け入、愛し合う。

この世界には、何も残せない。

所詮は砂上の楼閣。
それでも僕達は、今日も青い空の…