七年越しの初恋の相手、幼なじみとの恋物語『アヴェ・マリア』他人を拒絶する蒼夷と、生まれ付き声を失った希美の物語『勿忘草』 櫂と、もういちど――……あたしの頬を伝ったのが、涙なのか雨なのかはわからなかった。誰かが立っている。雨のなか傘もささずに、雨に打たれて全身ずぶ濡れ。彼は何も言わず、ゆっくりと歩み寄ってきた。手が伸びて、あたしの体…もっと見る