赤い瞳の影に住む黒い狼。狼の手にはいつも決まって黒い本。最初は薄かった本も長い年月を経て厚くなってゆく。しかし黒い本は限界を知らない。狼は必死になって本に文字を書き続けた。そして、本が分厚くなり、狼が持てなくなって来た頃。狼は満足したように本をいつものように閉じた。しかし、狼は本を持って歩き出そうとはしなかった。狼は本を見つめた後、其の場所へ黒い本を置いていった。…もっと見る