魚住月子

 トンネルを抜けると、そこは雪国だった。



 ……と錯覚した。あの有名なフレーズ通りの光景が
目の前に広がっていた。どこまでも、真っ白で、私の心を包み込んだ。
 いや、正確に言うと薄紅色……と、言うよりもピンク色のそれが広がっていた。
 この二日間続いた雨で、花はすっかり散っていた。時折枝に残っているものは、一等星さながらで、とても輝いて見えた。
私は思い切って、ピンクの絨毯…