いのっち

彼は、高校の部活動の、水泳部に所属していたが、バタフライだけが、泳げなかった。それは、ある意味で、羽根をもぎ取られた蝶のように、致命的なものがあった。水泳部の中で、皆がメドレーリレーをしている時など、彼だけが、一人取り残されたような思いになるのだ。
しかし彼女は、花のように、蝶のように、そして華麗に、水の中を舞う魚のように、彼の目の前で、バタフライを泳いでいた。泳ぎ終わった後の、彼女の表情は、…