*. 完結、おめでとうございます .*
作品コメント、失礼します

↓ ※ ネタバレ注意 ※ ↓

マリーゴールドの花言葉は ”悲しみ”
光君も葉月も、自分一人では背負いきれないくらいの苦しい過去があって。けれど、マリーゴールドの明るい色がそういうもの全てを溶かしてくれている気がした。負った傷の痛みはずっと消えることはないけれど、癒してくれる温かい存在。あの一本のマリーゴールドとマリーゴールドの花束がまるで、彼らが互いに支え合って歩んでいる……そんな象徴のように思えてなりませんでした。
ページを捲れば、ゆったりとした時の流れに誘われ、気づけば彼らと過ごす時間を心待ちにしている自分がいました。甘いお菓子も、彼らの苦い重荷とのコントラストになっている気がして、その綺麗な描写が脳裏に浮かびあがり、思わず幸せな溜息が私の口から零れ落ちる。
言葉を紡ぎ出さない光君。終盤で明かされる、彼の壮絶な過去には衝撃を受けた。真実の欠片が集まった時、全てが繋がるのも面白くて。時間を忘れて読みふけっている、なんてこともしばしば。また、私にとっても彼らの無言の会話は非常に心地が良くて、光君の表情の描写なんかは特に、なんて繊細な言葉たちで溢れているのだろう、と息を飲み、心揺さぶられました。
本作品を読み終えてしまった今、彼らに会えなくなるのを寂しく思っています。たまには寄り道をしてみようかな、とか、花言葉に触れてみようかな、とかとか。小さな夢が膨らみました。
素敵な作品をありがとうございました