ヒトは彼を美しい狂人だという
夜の街、笑いながら拳を振り、
その手を、その顔を紅く染める
彼に手を伸ばせば、待ちうけるのは漆黒の闇
「彼にだけは、逆らってはダメよ———」
それがこの街の絶対的な“ルール”
けれど私は自らソレを犯した
狂気に染まる彼に、手を伸ばしてしまった
「……なんでこんなことするのかって?
そんなの、聞いてどーするの?」
浮かべる笑顔の裏側はいつも泣いてる
いつも何かに怯えている
悲しいなら泣いたっていいよ
苦しいならいくらでも吐き出していいよ
嫌なことがあったら、全部私にぶつけてくれていいよ
夜、眠れないならそばにいる
貴方が呼んでくれたらいつだって駆けつけるよ
「………独りにしないで」
貴方が寂しくならないように。
貴方が心から笑えるように。
———“約束”された、その日が来るまで。
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