あの日、黄昏が君を攫って消えていく様を、僕はただ見ていることしか出来なかったんだ。これは僕の輝かしい英雄譚ではない。無力で情けない、ちっぽけな第三者の、記録だ。
橙と紺の入り混じる狭間。
「 死にたく、なかったな 」
そう言って笑う彼女に、
僕は何が出来たのだろうか。
「 俺はお前が羨ましいよ 」
企画『 雨上がり、世界模様。』提出作品
2025.3.15 番外編 追加