キャットウォークでダンスして、【完】

作者なつの真波

自殺志願者の優等生、匠。 
名前を捨て、キャットウォークに住む野良猫みたいな少女。 
一人は、その場所に死にに行った。一人は、その場所で生きていた。 
二人の出逢いが、夏の始まりだった―― 

街中に放置されたままの建設途中の大型ビル。 
そこから始まる、出逢いと自由の現代青春物語り。

「あたしは自由だけど、てきとーに生きてるんじゃない。

 あたしにはあたしのルールがあって、あたしはそれに従う。

 だってそれは、あたしが決めたルールだから。

 あたしがあたしであるために決めた、ルールだから」



キャットウォークでダンスして、



 あの、夏。

 俺たちは、行き場を探していた。

 生きていく場所を、求めていた。

 生きていく理由を、欲していた。


 それはたぶんくだらない、大人からすれば陳腐な悩み。


 それでも、世界はまだ、せまくて。




 それはあの頃の、甘く苦い日常の断片。

 小さな街で始まる、出逢いと自由の現代青春物語り。